【学級崩壊を立て直す③】当たり前はすべて全部思い込み!【人との違いがわかる】

「普通こうでしょ?」「当たり前だよね?」そんな無意識の「思い込み」が、クラスや家庭、職場でのすれ違いを生んでいるのかもしれません。学級崩壊を立て直すプロ、のんちゃん先生が実践する「当たり前は思い込み」という価値観を育むための具体的なワークとは? 子どもたちが互いの違いを体感し、認め合えるようになる驚きの方法と、実際のトラブル解決事例を詳しく解説します。(ステップ④は平本あきおチャンネルで解説)

学級崩壊立て直しの第3ステップ「当たり前は思い込み」

前の動画で、学級崩壊の立て直し7ステップの1番「とことんトラブル対応」と2番「安心安全の場作り」についてお話ししました。そして今日は3番目、「当たり前は思い込み」です。

平本あきお
平本あきお

4月からこの2つをほぼ同時進行しながらトラブル対応をしていると、安心安全な場も作りやすいということですね。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうです、しないと作れないんです。

なるほど。トラブル対応ができているからこそ、『1回ちょっとこの安心安全な場に乗っかってみよう』という気持ちになってくれるんですね。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうなんですよ。クラスで反抗的な態度をとったり、『大人の言うことなんか聞かないよ』となっていたりする子に、突然2番の「安心安全な場作り」をやろうとしても、『うるせえな、めんどくせえな』となってしまいます。

『大人はもう無理』という、勇気をくじかれた状態なわけですね。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうなんです。だから、『いや、ちょっとこの大人は違うぞ』と。ちゃんと自分の話をまともに聞いてくれるし、上から命令するわけでも、お願いするわけでもなく、対等に話せると分かってくる。さらに問題も解決するのを見ると、『こいつに乗っかってもいいかな』という気持ちになり、乗っかってみたら『割と楽しいじゃん』となるんです。

そうなってくると、いよいよ3番目ですね。この「当たり前は思い込みなんだよ」と伝えるというのは、どういう意味ですか?

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

人って10人いれば10人とも、物事の捉え方が全然違いますよね。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

例えば、アメリカの学校に行った時、日本だと中高生が机に足を置くなんてありえないですけど、アメリカだとそれがリラックスする自分のスタイルとして普通に通るんです。当たり前が違いすぎるんですよ。一方で、私が日本の感覚で高級なホテルで靴を脱いで座禅を組もうとすると、ものすごく注意されます。

国によって違うだけでなく、同じクラスの子どもたちの中でも違いますよね。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

違うんですよ。でも人は、自分の当たり前が当たり前すぎて、それが普通だと思っている。普通だという自覚すらないんです。子どもも『普通そうだろう』とか言いますけど、『普通なんてどこにもないよ』というのを、ワークを通して伝えていました。

結論から言うと、自分のすべての発言に(これは私の見方だけど)とつけたいくらいですよね。客観的な事実があったとしても、その事実に対してどう思うかは人それぞれ。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうなんです。『私はそう思います』という、その大前提に立とうよ、と。これは言葉で伝えてもなかなか伝わらないので、ワークをやっていました。

「当たり前」の違いを体感する教室ワーク

どんなワークですか?

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

教室を大縄で3つに区切るんです。私が質問をしたら、「絶対やる!それ大賛成!」と思う人は廊下側、「どっちでもいいな」は真ん中、「絶対嫌だ!」は窓際に動いてもらいます。子どもたちは、自分にとっての当たり前で動くわけです。

例えば、どんな質問をするんですか?

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

例えば、「ジャングルジムの上で1時間楽しくおしゃべり」。

ええ、ありえないでしょ(笑)。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

それが好きな人、いっぱいいるんですよ。特に女の子たちは『やりたい、やりたい』って。でも男の子からすると、『はあ?何やってんだよ、馬鹿じゃねえの』となる。どっちでもいいという子もいます。

他にはどんな質問がありますか?

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

例えば、「今日から毎日お楽しみパーティー」。『やりたい!』という子もいれば、読書が好きな子は『絶対嫌だ』に行くんですよ。

なるほど!

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

それで、動くじゃないですか。お互いに「はっ」となるんです。『毎日は疲れるよ』『静かにしていたい時だってある』という意見に対して、『そんなことがあるわけあるか!毎日お楽しみだったらパラダイスだろうが!』みたいに。

面白いですね。もう一つくらいありませんか?

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

「1人で3日間読書」。これも『したい』という人がいるんです。こういう具体的な事例で移動してみて、初めて違うところにいる人を見て、『本当に違うんだ』と体感できるんです。

これ言葉で抽象的に「違いを認めましょう」っていっても体感がないんですよね。でも具体的な事例が浮かんで、移動してみて初めて、体感できる。体験の中から学ぶ。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そして、同じ意見の人同士で理由を話してみると、また違うんですよ。例えば、お楽しみパーティーをやりたい理由が、『ただただ勉強をさぼりたい』という人と、『めちゃくちゃ楽しみたい』という人がいる。

なるほど!勉強しなくていいからやりたい人と、それが楽しいからやりたい人。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうです。『ずっとドッジボールしてたい』という人もいれば、『お化け屋敷だろ』という人もいる。ここでも意見が割れて、子どもたちが『はあ、こんなに違うんだ、人って』とびっくりするんです。

日常の具体的なエピソードから学ぶ。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうなんです。このワークをやっていると、例えば大縄大会で意見がぶつかった時も違ってきますね。『なんでちゃんと練習に来ないんだよ!』と怒る子と、『なんでこんなのあるの』と思っている子がいる。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

でも、このワークを経験していると、私が『あんなに違ったじゃない?違うのは当たり前のことだと私は思うよ』と言うと、『そっか』となるんです。そして、『そっか~じゃあ、すごく嫌な人はどうしたら少しはやってもいいと思う?』というように、相手の立場に立った問いが生まれる。これがすごく大きいなと思いました。

意見が真っ二つ!マインクラフト水浸し事件

実際に、物の見方が「当たり前」だと思い込んでいることで起きたトラブルはありましたか?

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

はい。クラスの中でもすごく仲が悪かったS君とK君という子がいました。少しずつ関係が近づいて、放課後一緒に「マインクラフト」というゲームをやったらしいんです。S君が作った街にK君が遊びに行って、そこでトラブルになりました。

どんなトラブルでしたか?

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

これも両者から詳しく話を聞くことが大事で聞いたんですけど、まずS君が私のところにやって来て、『先生聞いてください!K君がマジひどいんです。僕の街を荒らしておいて、なんか言ったら「細かいこと言ってんじゃねーよ」とかって言ってきて、超むかつくんですよ!』と。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

詳しく聞くと、S君が作った街にK君が遊びに来て、水をばらまいて水浸しにしたそうです。でも、K君はそれを「回収」という機能で元通り、何事もなかったかのような状態に回収して帰った。S君は、一度でも水浸しにされたことにすごく怒っていました。

一方でK君の言い分は?

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

K君に話を聞くと、『いや、回収したし、元通りにしたのに、細かいことぐちぐち言ってんじゃん』と。確かに、彼にしてみれば何も被害は残っていない。これは「当たり前は思い込み」の良い事例だなと思ったので、2人の許可を得てクラスのみんなに聞いてみたんです。

クラスのみんなに。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

はい。『S君のように、一度でも自分が作り上げたものを水浸しにされたら、馬鹿にされてる感じがしてすごい嫌だと思う人』と聞くと、半分くらいが手を挙げました。次に、『K君のように、元通りにしたんだからいいじゃん、細かいこと言うなよって思う人』と聞いたら、残りの半分くらいが手を挙げました。

見事に分かれたんですね。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そこでどうしたい?って。2人に、『今回の水浸し事件において、2人は当たり前が違った。考え方、捉え方が違った。その上でどうしたい?もう一緒に遊ばないという選択肢もあるし、それでも遊びたいという選択肢もある。自分たちで決めたらいいんじゃないかな』と伝えました。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

するとS君が、『K君と遊びたい』と言ったんです。K君もすごく嬉しそうで。

おお。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

じゃあどうしたらうまくいきそうなの?って聞くと、K君が『次から水をまく時には、「水をまくぞ」と前もって言う』と。そうしたらS君も『嫌だ』と言えるから、と。それで解決しました。当たり前は食い違う。その上でどうしていきたいかが大事だよね、という関わりをトラブル対応の中でもしていました。

なぜ「当たり前は思い込み」が3ステップ目なのか?

ひとりひとりものの見方が違うと。それぞれの見方考え方価値観が違うんですよ。それをテーブルの上に出して、ここが違うっていうのを見て、じゃあそれをされたら何が嫌か、どうしてくれたらオッケー。っていうのがちゃんと見える化することが大事。

平本あきお
平本あきお

この話は会社や職場、特に家族にも通じますよね。ちゃんと見える化して、『それは嫌だ』と伝えておかないと、無自覚にやってしまって問題になる。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうですね。

ちなみに、なぜこの「当たり前は思い込み」が3ステップ目にあるのでしょうか?

生徒T
生徒T

まず1つ目は、ほとんどの人が、自分が何に腹を立てて、何が嬉しいかすら気づいていないからです。『なんか分からないけど、むかつく』という状態。だから、まず自分の価値観に気づく必要があります。

平本あきお
平本あきお

その次に、それを一旦脇に置いて、『この人は別の価値観があるんだな』と理解してあげる。そしてテーブルの上にそれぞれの価値観を置いて初めて、『じゃあ、引き続き良くしていくにはどうしたらいい?』という共有点を見つけていく。この3つのステップが必要なんです。

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生徒T
生徒T

なるほど。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

結局、トラブルの多くは、ここの当たり前の押し付け合いやぶつけ合いで起こるんです。だから3番目で、『人ってそもそも違うんだね、そしてお互いにOKなんだね』という土台の捉え方を伝えています。

「違っていていい」が、のびのびしたクラスを作る

多くの人が人間関係をしんどいと感じるのは、自分が本当にやりたいことをやると、他の人と食い違って嫌われたりする。かといって、相手に100%合わせると、自分が本当にしたいことを押し殺してしまう。この葛藤ですよね。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうですね。

これをすがすがしく、自分の意見も出すし、相手の意見も受け入れる。ここまでは思いっきり出していい、ここから超えるところは気をつける、という線引きが明確だから、むちゃくちゃ伸び伸びできるんです。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

伸び伸び感ありますね。この3番目があることで、『違ってていいんだよ』と。本当にみんな、のびのび言うようになるんです。大縄大会を頑張りたい子も生き生き言うし、嫌で頑張りたくない子も生き生き言う。

両方いいんだよ、と。

平本あきお
平本あきお
のんちゃん先生
のんちゃん先生

はい。『このクラスとしてはどうする?』というのを話し合えばいい。その土台ができると、本当にどんな子も、自分が思うことを言えるようになります。

素晴らしいですね。そしてそれができるようになると、4番目のステップ「なりたいに夢中になれる」。これは一体何でしょうか。続きは、私のチャンネルでぜひご覧いただけたらと思います。ありがとうございました。

平本あきお
平本あきお

この記事を書いた人: 梶谷希美

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