「ミステリと言う勿れ」に物申す!元崩壊クラス執行人が語る教育現場の真実

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今回は… 「ミステリと言う勿れ」で取り扱われたいじめの問題について いじめの実態に関わり続けてきたからこそ伝えたいことがある 現在のいじめ問題の実情についてお話します。

先生、「ミステリと言う勿れ」というドラマの中で、イジメた側がカウンセリングを受けるべきっていうような議論があるんですけど、これについてどう思います?

生徒T
生徒T

ㅤㅤ

みかん先生
みかん先生

話題のね。その中身、もう少し詳しく教えてもらっていいですか?

主人公が犯人にこう言うんですよね。「どうしてイジメられる方が逃げなきゃならないんでしょう。アメリカだったら、カウンセリングはイジメている側に行う形なのに、日本だとイジメられてる方がカウンセリングを受けますよね。それって違うんじゃないですかね」って。結構、みかん先生はこれまでイジメの問題を数多く取り扱ってると思うんですけど、自分の経験を通して何か感じるところだったり、思うところを教えてもらえたら嬉しいです。

生徒T
生徒T
みかん先生
みかん先生

私が知ってる限りで言うと、公立の小学校なんですけど、日本はかなり繊細にイジメっていうものを取り扱ってるんですね、実は。

なるほど。ちなみに、どれぐらいイジメの問題を扱ってこられました?

生徒T
生徒T
みかん先生
みかん先生

相当な数ですけど、今の日本の仕組みがどうなってるかっていうと、イジメられた側、被害者側がイジメられたという認識であれば、それは全てイジメとして認知しましょうってなってるんです。その内容がどうであれ.。で、月1回イジメアンケートっていうのを取ってます。そこで、自分はイジメられているっていうような内容であったら、それは、その月のアンケート結果に対して聞き取り調査した上でなんですけど、基本的には全てイジメとして取り扱ってくださいってなってるんです。だから、ものすごい数のイジメ案件が上がるわけです、毎月。

のんちゃんは、イジメに関してどういう立場だったんですか?

生徒T
生徒T
みかん先生
みかん先生

私、生徒指導主任という立場を長くやってたので、そのイジメアンケートの取りまとめと、そこから上がってくる案件の取りまとめをしてましたね。で、その上で、教頭先生や校長先生にすごくかっていただいていたので、イジメって一番最初にイジメが発覚したときの初期対応っていうのがほぼほぼ全てを決めると言われてるぐらいに、一番最初にどれだけの事実を聞き取れるかっていうのがかなりキーになるんです。ここでうまく聞き取れないと、事実関係がわからなかったり、いい解決方法だとか話し合いに持っていくことってのが難しくなる。だから訴訟問題になってしまったり、すごくもめてしまったりっていうことがかなり起こるので、この初期対応をどれだけ適切にできるかっていうのを求められている。

みかん先生
みかん先生

その中で、すごいその部分で信用していただいていて、初期対応がとにかく命なので、そこがうまくいってないなって管理職の先生が見たときには授業中でも呼ばれて、他の学年のイジメの問題も聞き取りをしてましたね。月に3、4件はあったんじゃないかなって思うし、今のイジメの取り扱い方としては日本はイジメは必ずあるものだと認識をしましょうと。これはもみ消されたいろんな歴史があって、絶対にイジメはあるものだと先生が認識してくださいと。

みかん先生
みかん先生

なので、例えばですよ、私が生徒指導主任としていろいろ取りまとめをして、月のイジメ報告を教育委員会にしなきゃいけないんですけど、教育委員会に今月イジメは0件でしたって送ったら電話がかかってきます。「そんなわけはないだろう。いい加減なことをやってるんじゃない。ちゃんと調査してあげてください」って、怒られる。

怒られるんだ?

生徒T
生徒T
みかん先生
みかん先生

そう。だから「イジメなし」っていうのは、もみ消してるだろうっていう立場で見なさいっていうふうになっちゃってたから、イジメられているというアンケートが上がったら、その子に「どういうこと?」っていうのを聞いて、聞いた上でそこでその子が「やっぱり大丈夫です」って言ったらそれはカウントしないんだけど、そうじゃなかった場合は、どんな小さなことでもあってもイジメとしてカウントして、解消から見守り期間で3ヶ月間、毎月毎月その案件についての報告を上げましょうっていうシステムなので、全学年で言うと、月に25~30くらいのイジメ案件が毎月生まれる度に、報告書としてはものすごい量のイジメ報告書を書かなきゃいけない。一つの先生の仕事になっちゃってるなっていう感じがしたんですよ。

みかん先生
みかん先生

それで言うと、いろんな県からいろんな事実が上がってきている中で、一番大事なのはその事実を正確にどれだけ把握してますかっていうところが全てで、例えば〇〇に「バーカ」と言われて傷つきました、これもイジメとカウントするんです。例えそれが1回であってもです。1回であっても、その子がイジメと言ったらイジメなんですよ、今の日本ではですよ。

みかん先生
みかん先生

「傷ついたんだったらイジメです」っていうふうになるので、「バーカ」と言いましたという事実を聞いたときに、どう聞いてもそんなに厳しい言い方ではなく、今までずっと言われてたのかっていうとそうではなくって、この一回だけ言われましたっていうのをイジメカウントしたときに、イジメられる側のカウンセリングが必要ですか?って言うと、「え?」っていうところだし、

みかん先生
みかん先生

ひと月に他のいろんな子のイジメ案件に上がっちゃってる加害児童になっちゃってる子で言えば、やっぱりその子を注意して見ていこうっていう流れには学校ではなっていて、だから、「日本はイジメている側に対しては何もないよね」っていうふうに言われちゃうと、私は「あー、そういうふうに見られていて悲しいな」って正直思いますね。

みかん先生
みかん先生

それだけのいろんな案件が生まれてくる中で、やっぱりその事実どうだったのかっていうところを聞き取った上で、どの子が一番苦しいんだろうっていうのを考えてサポートしようとか、話を聞こうっていう流れは、私が知っている小学校には少なくともどこにでもある話だったので、そうねって思うし、高校生くらいの話なのかなって思って私はあの漫画を見ていた感じですかね。

なるほどね。

生徒T
生徒T
みかん先生
みかん先生

とにかく事実を聞きましょうと、思い込みなく事実を聞き取る力っていうのが今先生に求められてるんじゃないかなって思うくらいに、毎日いろんな話を聞いてたなって思いますね。

昔とかだと、先生が「イジメられるお前が悪いんだ」って指導を結構してたと思うんですけど、今ってどうなんですかね?

生徒T
生徒T
みかん先生
みかん先生

そんなの絶対言っちゃダメです!訴訟が起きます。なので、イジメられている側がダメだなんて絶対に言っちゃいけないっていう決意のもと、イジメられている側が「イジメられてる」と言ったら全部カウントしようってなったんですよ。

みかん先生
みかん先生

だから、正直な自分の見解を言えば、「1回「バカ」って言われました」が、イジメに入っちゃったら、世の中どうなっちゃうのよと思う。それはよく聞いた上でですよ?本当に、どういうやり方で、どういうシチュエーションで、本当にそれまで何があったか、他の人に言われていたからストレスを抱えていたんじゃないか、とかいろんな仮説を立てて色々聞いていった結果、ただここで「バカ」と言われただけなのかっていうときに、「こういうこともあるよね。じゃ、ちょっと話し合おうよ」でいいんじゃないかなっていう憤りはありましたけど、でもその日本のこれまでの中でイジメられてる奴が悪いと言って自殺しちゃった子とか、苦しい思いをした子っていうのが出てきた歴史を踏まえて、こういうシステムになったんだなっていうのはあるので、その悲劇は生まなくなってきてるんじゃないかなっていうのは今の傾向としてありますね。

みかん先生
みかん先生

色んな案件に関わってきて思うのは、学校ってすごくイジメが起こりやすい場所なんです。

みかん先生
みかん先生

っていうのは、子供たちって何のために学校に行ってんのかよくわからず来させられているところがあり、そしてその学校がとっても楽しい場所になってるかっていうとそうでもないところがあり、しかも偶然近所の同い年を、38人とかを、あの狭い教室に8時間押し込めて、勉強だって運動だって、比べられるわけですよ、子供たちは。これはあの子が得意で、やっぱり足速い、あいつはいいなとか、比べられながら生活するわけじゃないですか。私たちの人類の歴史を見ても、ちょっと何か自分たちと違うものを排除するっていうホモサピエンスの特性を以てして生き残ってきた動物なわけですよ。だから、イジメ紛いのものは起こる。

みかん先生
みかん先生

大事なのは、その事実をしっかり見た上で、じゃあだからこそ、どうしたら成長できるんだろうとか、だからこそどう関わったら人とうまくやっていけるんだろうっていうのを学ぶ場所で、イジメが起こって、やれカウンセリングだ、大変だ、心配だって、私は自分のクラスに対してはそういう見方はあまりしてなくって、「そりゃぁ、人と人とがこれだけギュウギュウ詰めに押し込められて8時間も毎日過ごしていたらトラブルが起こるよ」と、トラブルが起こったときに周りにいるみんなは何ができるのか、当事者の話を聞いて、「じゃあ、次はどうしたらいい?」とか、ストレスを抱えてる部分があるんだったら、「じゃあ、どう関わればいいんだろう」っていうところを学ぶ場所が学校であって、

みかん先生
みかん先生

イジメを見つけ出して、誰をカウンセリングするんだっていうようなマイナスな場所になりたくないなと思いながら、「めっちゃマイナスやな」って生徒指導主任をしていて超頭が痛かったですね。

みかん先生
みかん先生

学級の状態が大変になればなるほど、トラブルは増える。だから、学級崩壊っていうようなフレーズも出たりしますけど、崩壊の状態になれば毎日暴力が起こるし、毎日悪口が飛び交う中で、先生も疲弊して「このクラス大丈夫かな?」っていう状態の中で報告書の枚数だけが増え続けるんですよ。なんか疲れ切ってる先生に「イジメの認知をするから、報告の締め切りが明日までです」とか言えなくて、この報告するよりも、多分他に何かした方がいいことがあるし、って思うとなんか言えなくて、なんとなく様子を、それもひょっこりはんで伺いに行って、私がわかった範囲で報告をしてその先生がちょっとでも楽になったらいいなみたいなことをすごくやってたなと思いますね。

みかん先生
みかん先生

なので、事実をしっかり見ることですよね。イジメっていうものに親御さんが関わるときもそうだと思うんですけど、何が起こったのかって、それぞれ加害者と呼ばれる子も、被害者と呼ばれる子も、その子の心の中で何が起こってるのかっていうのは、イジメる側が悪いですよ、絶対悪いんですけど、でもその事実、いろいろあってイジメてる場合もあって、案件としては、加害児童Aくんとして上がってるんだけど、いろいろ紐解いて1年前から見ていくと、Aくんも被害者じゃんみたいなことがすごいいっぱいあって、だから事実を見て、子供たちみんなに寄り添うっていうのが大事だし、カウンセリング的関わりが必要なんだったら、もうとにかく周りで見てる子だってそうですよね、にも関わるような体制になったらいいな、とすごく思いますね。

親御さんは、さっきの事実を見るってとこ以外にもどういった関わりをすればいいですか?

生徒T
生徒T
みかん先生
みかん先生

イジメに対してですか?

うん。多分、加害側と被害側では結構変わってくるかなあと。

生徒T
生徒T
みかん先生
みかん先生

そうですね。どっちも、その子の行動はちゃんとダメなものはダメって言った方がいいと思うんですけど、その子の存在を信じて、存在を愛して関わるのが一番大事なんじゃないかなと思います。

みかん先生
みかん先生

イジメの報告を親御さんにするときに、すごく私が悲しくなるのは、「うちの子が変だからイジメられるんですか?」って、「私の関わり方が悪かったからこの子はイジメるような子になっちゃったんですか?」っていうような親御さんの悲痛な思いを聞くんですけど、「どっちも変じゃないんですよ。私たちはホモサピエンスなので、トラブルって起こるんです」って。「なんでそれをしてしまったのか、次はどうしたらいいのかっていうのを信じて関わってください」って。

みかん先生
みかん先生

いろいろあってこうなってる。だから、私イジメてる子の保護者さんに関わるときも、「こんなに悪いことをしましたから、もうどうにかしてくださいね」みたいな伝え方は絶対したくなくって、「いろいろあったんです。いろいろ聞いたんですけど、今はこういう事実は事実としてある。あってそれは絶対にいけないことだっていうのは間違いないんだけど、この子の持ってるエネルギーとパワーは悪いものじゃないんです」って。「だからいっぱい話を聞いてあげてください。次どうしたらいいか、やっちゃったことに対しては謝らないといけないし、その経験を生かしてどうするかっていうところを一緒に話していきましょう」っていうような話し方をするし、

みかん先生
みかん先生

被害を受けて落ち込んじゃってる子に関しては、「今すごく心が疲れているのでその部分についてたくさん話を一緒に聞いていきましょう」って言うけど、別にその子が変で、弱いから攻撃を受けてるわけじゃなくて、いろいろあったんですってところを事実をしっかり聞いて、イジメっていうものは生きてれば、っていうところで、いい経験をしている、と。これが成長に繋がると信じて関わっていくのがすごい大事かなと思います。

親御さんは、イジメの事実を報告しても、やっぱり「うちの子はイジメなんてするわけがない」って事実を認めたくないっていうときは、どうやって親御さんに話をするんですかね?

生徒T
生徒T
みかん先生
みかん先生

そこね。そこすごくやっぱり難しいんですよ。だからこそ、初期対応がめちゃくちゃ大事だ、命だって言われていたのは、こっちがどれだけ事実をつかんでいるかっていうところが大事で、やっぱりお子さんがイジメって言われるような行為をしていたのって親御さんには相当なショックなわけですよね。

みかん先生
みかん先生

そこで「うちの子がそんなことするわけありません」って来たときに、「そうですよね。すごく〇〇さんが優しいこともいいところもたくさんあることを私もよく知ってます。その上で事実をお話させていただきます」って。「これは何人の子に調査をして、今日の朝から3時間かけて聞き取った事実なので、事実として聞いていただけますか?」って事実を話すのが大事。

みかん先生
みかん先生

信じられないし、信じたくないわけですよね。その上でちゃんとお互いに理由があるんですよ。イジメた側にも、イジメられた側にも。イジメられた側にも理由っていうか、その何かしらがあってここに来てる。で、イジメた側で言えばその子に対してじゃなくても、その前にいろいろあってこうなってるっていうところまで聞き取れていると話はしやすくって。「本人すごく反省していて」っていう部分まで話せたらベストなんですよね。

みかん先生
みかん先生

だから、イジメっていう事実が上がってきたときに、その子たちが家に帰るまでにどれだけの調査ができるかっていう勝負なんですよ。そこが中途半端で報告すると、もうそれは親御さん傷つけますし、「学校側の管理がなってないからだ」とか「全然見てくれてないじゃないか」っていうとこに繋がりやすいから。だからもう、最優先事項なので、イジメって、朝発覚したら「あ、もう今日1日自習だ」という覚悟を持って、1人1人聞いてった方がいい場合だったら1人1人呼んで聞くし、食い違いが起こったらもう1回聞くし、食い違いがどこから生まれているのか、実際の目撃者探すしみたいなところをとにかくその帰るまでの間、全力でするんです。

みかん先生
みかん先生

そこが甘いと、やっぱり親御さんを余計に傷つけるし、不安にさせてしまうし、本当に揉め事に繋がっていってしまうから、毎回対応で呼ばれるってことがすごく大きかったなって、私の立場だとそうでしたね。

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★まとめると・・・

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事実をしっかり捉えられるように、学校側は、最初聞いたときにどんな小さなことに思えたとしても、重大な問題として関わることが大事。

ですけど、そうでもない場合もあるので、

親御さんとしてはお子さんが帰ってきてからお子さんの話をとにかくいっぱい聞いて、聞いた上で先生が調査した話を聞いて、関わってるお友達のお母さんとか聞けるんだったら聞いて、

その上で、

この子がさらに成長するために何ができるかっていうのを考えることが大事かなと思いますね。


Youtube「おしえてみかん先生!」

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