今回は…「うちの子、言わないと動かない…どうしたらいいの?」
という親御さんからよくいただく質問について
子どもたちが自ら考えて動くようになる関わり方についてお伝えします
(2022/02/20 youtube配信動画)
先生、「うちの子、言わなきゃ動かないんですよね」っていう質問が来てるんですけど、結構わかる気もするんですよね。これってどうしたらいいんでしょうね。
言わなきゃ動かない子は日本に溢れてると思いますね。
指示待ち人間になってしまう関わり方
やっぱり言わなきゃ動かないから言うじゃないですか。おうちでも、例えば、決まった時間に出かけなきゃいけないのに、そう言ってあるのに、全然準備をしない。5分前になっても動く様子がないと、もうイライラすると思うし、何度も何度も言ってやっと動くみたいなことも多いだろうし、学校でも決まってる動きが多いから、「次は体育です。並んでください。出発!」みたいな、決まっていることで指示が必要と思うことってすごく多いです。
私も子どもとお母さんが関わっているところにちょうどいたことがあって、その子9時に寝るのは決まっていて、お夕飯食べるときも、「座って」って言われて、「好き嫌いしないで」「これ食べて」「こぼさないでこうして」とか、これはこうしてとかっていうのがずっとお母さんが、丁寧に次の次の次っていうのを読みながら言ってたんですよね。だから、次にどうしたらいいか、というのをあんまり考えてない子が増えてるんじゃないかなって思ったりしますね。
考えなくていいよ、ってなってる?
そうそう。だって次にやることはどっかから飛んでくるから、何か飛んできたらそれやればいいみたいな感じに思ってるんだろうなって思うことはすごいありますね。
家でも学校でも?
そうです。だから、「〇時にこれするからこうして」みたいなこともそうだし、「こういうときは挨拶をしなさい」とか、「こういう時はこうして。こぼさないためにこうして」みたいな、「言われたことをやってりゃいいんだろうな」って思ってるよなって思うことってすごく多いですね。
決まった時間に出かけなきゃいけないんだけど、全然準備しないから困ってるっていうお子さんに関わったときに、「何時に出かけることになってるか知ってる?」って聞いたら、それは知ってたんですけど、「じゃあ何でその時間にでかけなきゃいけないか知ってる?あなたの乗るバスは何分に出るの?」って言ったら知らないって。
絶対お母さん言ってますよ。でも頭に入ってないんですよ。正直、指示が飛んできたらその通りに動いて、お母さんがこのくらいキレたら多分、限界なんだろうな、みたいなことを知ってて、その段階で動けば何とかなるってことも知ってるから、あんまり考えなくていいようになってんじゃないかなって思いますね。
なるほど。
先生のときの生徒への関わり方も同じ!
私も小学校の先生になったばっかりのとき、間に合わないって思うと心配で、指示出してたんですよ、めちゃくちゃ。で、遅れちゃったら、「私のあそこの指示が遅かったからか」「これでダラダラして言うことを聞かなかったわけだから、もう5分早めに始めないと駄目か」みたいな関わり方をしてたんですよね。だからもうこっちは大変ですよ。
逆算して、自分のこともあるけど、ああして、こうして、子供たちが間に合うためには、何分で、あーまたこれで間に合わなかったってことは何分前に、みたいな。図工の授業はどうせダラダラしてるだろうから、15分前からこっちが言い始めれば何とか終わるかなとか、それでも「いい加減にして、もう、あと三分だよ」って言いながらやってましたね。
生徒が自分から動くように変わったきっかけ
それをやめるきっかけみたいのがあったんですか?
そう、それがガラリと変わったきっかけがあって。私、2年目で担任を持つようになったときに、隣のクラスが大変な崩壊状態になったんですよ。そのとき、1学年3クラスだったんですけど、私、真ん中のクラスで、1つのクラスがもう完全に大変な状態になっちゃって、もう1クラスが先生が具合が悪くなっちゃって、学年に担任の先生が私1人しかいないみたいなことになったんですよ。
ま、補助の先生が入ってくれたり、入ってくれなかったりするんですけど、だから先生がいるんだかどうかもわかんないから3つのクラスを見なきゃみたいな感じになったときに、もう大変なことになって、隣のクラスがすごい崩壊状態だから教卓がひっくり返ったり、机が投げられて隣のクラスから「うわー」って叫び声が聞こるみたいなことが、ちょこちょこある災難に会いまして、、
それ何年生なんですか?
3年生。私のクラスはそこそこうまくいってた。最近ほどではないんですけどそこそこうまくいってる中で、「ガシャーン」みたいな音が聞こえたときに、「ごめん、先生ちょっと隣のクラスに行ってくる。ちょっとみんなで何とかしといて」みたいなひどい指示の出し方、一番やっちゃいけないんじゃないかみたいな指示の出し方をして、でも、どうしてもけが人が出ちゃったりするとほっとくわけにいかなくって、20分30分クラスを離れることがちょこちょこあったんですよ。そのときの子供たちの力がものすごかった。
っていうと?
「何とかしといて」って言われると、子供たちも隣が大変な状態っぽいってのはわかるんですよね。で、先生も大変な状態っぽいっていうのがわかったときに、「なんとかして」と言われた子供たちは自分たちでいろんなことを考えて何とかしようとし始めたわけですね。だから、私「何とかしといて」って言って、3時間目の終わりぐらいから離れて、4時間目の終わりぐらいまで本当にいなかったりするわけですよ。
結構、長いですね。
長い。で、3時間目は教室でやってる授業だったんだけど、5分間休憩を挟んで、4時間目は体育だったりしたわけですよ。子供たちは「なんとかしといて」だけ言われたわけですよね。そこで、体育館だった。「体育着には着替えなきゃね」っていう話になって体育着に着替えて、「いつも並んで行ってるんだから、並ばないとね」って言って、並んで体育館に出発したわけです。体育館は空いてない。
でも、「職員室にいつも先生は鍵を取りに行ってるよね。」って言って、「高学年のお兄さんお姉さんが体育館の時に自分たちで鍵取りに行ってるの見たことあるよ」っていう話になったらしくて、自分たちで鍵を取りに行くんです。「何年何組の〇〇です。体育館の鍵を取りに来ました」って言ったらもらえるわけですよ。それは私は自分でやんなきゃいけないと思ってて、3年生だから無理だと思って私が取りに行ってたわけなんですけど、取れたと。鍵をゲットできた。鍵を開けるわけですよ。
で、マット運動か何かだったんですけど、マットの準備を自分たちで思い出しながらやると。「全部こういうふうに最初並べてたよね」って並べた後に、「でも、先生何か用事があったときに、マット運動は首のこととかがあって危ないからマット運動はしちゃいけない」って言われたっていうのを誰かが思い出して言ったらしくて、「そうか。マット運動は自分たちだけじゃしちゃいけないんだ」、準備運動をして、自分たちだけでしていい運動は何か考えたらしいんですけど、体育館の端から端までを行ったり来たり走ると(笑)走るっていうのを順番にやってみたらしいんですね。
その後、先生がいないときにやってよかったのはって考えて「だるまさんが転んだ」とかやってたらしいんですけど、でももうやることを使い果たして、やり切って、私が「ごめんね、待たせて」って。っていうか私、探し回ったんですよ、いないから。体育だし、体育着みんなないし、「え?体育館行ったの?自分たちで?」って思って、体育館に行って「どうやって鍵開けたの?」と思いながら、もうやりきった子供たちが、体育の並びに並んで座って待ってました(笑)「やりきりました」って。「もうやれることないし、マット運動は怪我があったらいけないって前に先生が言ってたんで。やり切って座って待ってました」って言って待ってたんだけど、その直前までは「だるまさんが転んだ」とか「行ったり来たりの競争」とかをしてたっていうのを聞いて、すごいなと。
指示の出し方を変えると、自分で考えて動くことができる
「任せたよっていうだけで、子供たちってここまで考えて、ここまでわかって、全部やれるんだ」って思ったときに、すごい感動したんですよね。全部今まで自分が指示出さなきゃと思ってやってたんだけど、、、。そこからそのクラスへの指示の出し方がすごい適当になったんですよ、私は。
自分が忙しいのもあるんだけど、やれるだろうという見通しがその様子を見てて思ったので、「任せた」って。「ここから多分15分間は戻ってこれないと思うから、プリント渡しとくね」とかってプリントを「預けたよー」って言っただけで、「プリントを配って、自分たちでできるところまで丸付けして待ってました」とかっていうのもしていたし、「こんなに自分で考えて動くことができるのに、私がわかってなかったんだな、子供のすごさを」っていうのもすごい思ったし、私が適当になってからの方が明らかに子供たちイキイキしてるんですよ。
逆に。
そう、もう自分たちは「先生いいですよ、行ってきてください。大変でしょうから。大丈夫、僕たちは!」みたいなエネルギーがすごくて。だから、「あ、先生今日1日いるんすか」みたいな(笑)、「大丈夫ですよ、ここの最初の方は」みたいな感じになって、「あ、じゃぁ、みんなでやってるところをぜひ見学させてください」って言って、「私は仕事溜まってるんでちょっとこっちでやっててもいいですか?」って言ったら、「どうぞどうぞ」みたいな感じで、自分たちで仕切れるところは自分たちでやる方がよっぽどみんな生き生きしてて、自分たちで「ここまでできるんだぞ」って自信にあふれてたっていうのを見てから、「もうあれこれ細かく指示出すのやめよう」って思った。
だからもう、始業式とか、一旦クラス作りが済んでから、2学期の始業式とかは先生がた、皆さんも記憶にあるかもしれないけど、宿題を出す場所とか小さいダンボールとかがあって、ドリル、図画工作、ここがアイデア貯金箱みたいに書いてあって、そこに出すようにとかなってると思うんですよ。名簿に一応チェックするとか。出すところが用意してあって、「これはこうしといてください、これはこうしてください」みたいな言葉に書いてあったのが記憶にある方もいるし、先生でやられてる方もいらっしゃると思うんですけど、一切しなくなったんですよ、そっから。
子どもたちのやれることがどんどん伸びていく!
配膳台を宿題出す置き場として用意したりするんですけど、それもしない。だってできるもん、子供たちで。だから信頼関係が築けたら2学期の最初は、「できること、皆さんが思いつくこと、思いつく限りのこと全部やっといてください、任せた!」って書いておくと、子供たちが「なんだー、任せったって?どうすればいいんだ?」って一生懸命考える。
考えるとびっくりすることまでやるんですよ。もう配膳台出して、自分たちで宿題出すとこ決めて、「名前の順に揃えておきました」とか、「チェックは終わってます」とかもちろんだし、教科書とかドリルとかもその辺に置いてあったのを見つけ出して配って、なんなら私の分まで配ってあったりするんですけど(笑)
「名前もみんなで書いておきました」とかっていうのもそうだし、本当に自分たちで考えてやりだすんですよね。そっちの方が生き生きしてるし、それをどや顔で報告してくれるんですよ、「これやりましたよ。これもやりましたよ」っていう。
一緒に子どもたちがやれることをどんどん伸ばしていくのが楽しくなっちゃってから、私は自分の仕事を減らしていくっていうのがすごいできるようになってった。後ろの掲示物とかも、先生方が全部貼ってったりするじゃないですか。もう貼らない貼らない。1個だけ貼っといて、あとは「貼りかけー」みたいに置いとくと、子供が「これは貼っといていいのかな」っていうので、今まで「貼っといて」と言われたこともないし、勝手に貼っていいかわかんない、子供たちは最初戸惑うんですよね。
「これ貼っといていいんですか?」みたいに恐る恐る聞いてくると、「よく気づいたね!いや全然聞かなくても気づいたのは素晴らしいよ!やっといてくれたら超助かる!」って言ってると、もう勝手にいろんなことをやり出してくれて、なんなら私がボケーっとしてると「先生、隣のクラスの廊下の絵はもう新しい絵になってるんですけど、絵はどこですか?」っていう(笑)「あの棚の上です」って言うと、「もう他のクラス全部貼ってますからね」って言いながら(笑)棚から取って全部貼ってくれるんですよ。
全部一気にではなく、少しずつ任せてみよう
「子供が貼ると曲がってて気になるじゃないですか」「高いところに登らせるのも怖いじゃないですか」とかっていうのを聞きますが、それは高いところが危険なんだったらその登ってる子供たちの後ろについて「がんばれ!」って言ってればいいし、何かあったときは自分が受け止める位置にいられたらいいし、この子たちに危険性はないなと思ったら徐々に距離を離しておけばいいし。
曲がってて気になるんだったら「すいません、贅沢を言います。みんなならできると思うからです。曲がってます」っていうと、「えっ」って言いながら「あ、でも直すのが難しかったらいいや、しょうがないから私が直すわ」って言うと、「いや、大丈夫です。直せます」って、直して綺麗になったときに、「すごい!真っすぐっていうところもできるんだね!」って、「もうそこまで任せちゃえるのすごいなー」とかっていう方が、子供が生き生きするから、細かい指示って本当にいらないし、そのゴールを伝えて、何が必要なのかそのために何をするっていうのを子供に考えてもらうというか、一緒に考えることで、言わないと動かない子って減っていくんじゃないかなって思いますね。
なるほどね。でも、任せるのってちょっと怖くないですか?
怖いですよ。怖いからちょっとずつ。一気に全部とかっていうのは子供だって難しいんですよ。だから「僕全部ひとりでできるもん」を「はいどうぞー」ってやるんじゃなくって、「全部1人でっていうのはどういうこと?何をしたいと思ってる?最初に何しようと思ってる?そうなんだね」っていうふうに子どもがこれやる、これやる、これやる、って言ったことを不安だったら、見守ればいい。
「どうぞー」って言って。あまりにも危険なときに「ホッ」って手を出すし、「包丁はまだ危ないと思うよ。理由はね」っていうのを話した上で、「こういう段階になったらぜひ任せたいと思ってるよ」っていうことでもいいし、私は包丁なんかは後ろでついて、絶対危険がないようにその子の後ろで二人羽織?(笑)みたいな感じになって、危ない時は助けるけど、基本的には手を離しながら、どこまでこの子ができるのかなって見守るし、危ないって言われることだったら、それこそ脚立に乗るのが危ないだったら絶対、脚立の足持ちながら何か危険がないように後ろで見ているようにしていたし、
そういうところで、でも子ども自身も自分で登って自分で貼ったんだとか、自分が切ったんだっていうところに、自分でできるっていう自信を持っていくものだと思うから、ちょっとずつちょっとずつ自転車の補助輪を外していくように手を離していけばいいんじゃないかなって。その不安だなって思うところはもちろん、大切なブレーキだと思うんですよ。
それを「危ないからやめて」って言うんじゃなくって、どこまでならできそうなのかっていうのを見てて、包丁持ってふざけるようだったら「それだったら絶対任せられないからもう触らないで」っていうこともあるし、「理由はこうだよって、これは危ないからだよ」っていうのを伝えて、「これしないんだったら任せることができたのに、残念です」って言って、私がやるし、そしたら次は「ふざけないのでちゃんとさせてください」って言われたときに、「じゃぁ、やってみる?」って言ってふざけなかったときに、「凄いねー、できそうだね」とかっていう、ちょっとずつちょっとずつ手を離していくっていうのが大事なんじゃないかなと思いますね。
なるほどね。
不安だから指示を出しちゃうんですよ。不安だから「あれやって、これやって」って言っちゃうし、言った方が楽なんですよ、私達が。
楽なんだ?
楽。だって、その方が絶対時間に間に合うし、その方が絶対失敗がないし、その方が絶対子供に怪我もないっていうところで、部下に仕事を任せるとかと私似てるなと思うんですけど、自分がやっちゃった方が安心なんですよね。で、自分が事細かに指示を与えるのって自分の安心のためなのかなって私はその一件を通して思ったので。
★まとめると、、
自分で動くようになるための関わり方のステップ
私の感覚だと、子どもは、皆さんが思っている50倍くらいできるんですよ(笑)だから、
1.「考えてやってごらん」って任せてみる。
2.危険があるときをきちんとサポートとかフォローができるように見守る。
3.子供がやり方がわからないようだったらやってみせる。
ていう中で、子供が自分でやれた、やれた、自分で考えて決めてやれたっていう経験をつくっていく。
すると、
「今日35分には出なきゃいけないんだけどどうする?」って言ったら、「じゃ、こうするわ」っていうのが出てくるようになる。
っていう、最初は不安なんだけど、そのステップを踏んでいくことを恐れないでください。
その方が絶対に自分が楽になります。最終的にはね、最初は大変です。
最初は大変なんですけど、絶対に自分が任せられるようになったら、本当に優秀な秘書とか、優秀なブレーンとして、子供たちが輝き出したときに、お互い本当に気持ちのいい時間を過ごせるようになっていくので、恐れずにちょっとずつ任せてください。
Youtube「おしえてみかん先生!」
未来学園HOPEでは、このようなお悩みに対するお話を毎月6本公開しています!
大好きなレモンサワーを片手に教育や子育てに関するさまざまな質問にお答え🍊
みなさんからの質問も随時募集しています🍺
https://www.youtube.com/channel/UCOUADQoCtneWeQNUVzFlIbw/videos
未来学園HOPE会員募集中!
より詳しい解説を聞きたい方、教育に想いがある方、みかん先生の活動を応援したい方は、ぜひ未来学園HOPEの会員になってください会員限定でさらに詳しく赤裸々に…具体的なエピソードや解決法、スキルをお話ししていきます。
この他、会員限定動画をHOPE正式会員Facebookグループで公開しております
未来学園HOPEの公式ライン
お役立ち情報をどんどん発信しています!よかったら、登録お願いします!