【社会問題】放置子問題~どう関わる?【対応】

「玄関前にずっと立っている」「勝手に上がり込んでくる…」 SNSでも度々話題になる「放置子」問題。どう対応すべきか分からず、怖さや戸惑いを感じている方も多いはずです。

彼らはなぜ、他人の家に執着するのか? 実はその裏には、大人も驚くような過酷な環境と、一人で生き抜こうとする子どもたちのリアルがありました。

今回は元小学校教師ののんちゃん先生が、現場で見てきた実態と、私たち大人ができる適切な対応(児童相談所への繋ぎ方)を語ります。


のんちゃん先生、Xで「放置子」で困っているというツイートを見かけたんですけど。
生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

私、「放置子」という言葉あんまり知らなかったんですけど。あれですよね。親があまり面倒を見ていないので、夜中まで居場所なくうろうろしていたりとか、友達の家に上がり込んで帰らないとか、おやつを食いあさるとか、というので迷惑とされている子どもについての話で、割と社会現象に今なりつつあるみたいなものだと。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

実際の投稿は、「上階の放置子が玄関前にずっと立っていて離れません。警察にも連絡しましたがまともに取り合ってくれず、何度もうちに来ます。元々はうちの子の友達が遊びに来たのだと思い中に入れてしまったのが発端で、その時の対応が間違いだったと今は後悔しています。どうしたらいいですか」というような投稿だったりというものがあると。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

その「放置子」という呼び方を私本当に今回初めて知ったんですけど、自分がその小学校の先生としていろんな子に関わっている中で、こういう話はたくさん聞いている話でした。

自分のクラスの子がなのか、自分のクラスの子の友達がなのか。
生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

こういう感じの子を担任したこともあるし、こういった苦情を親御さんから受けたこともあります。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

「何年生の何々ちゃんが家に上がり込んできて、親の留守中に上がり込んでは、あの冷蔵庫を荒らすと。これは学校側としてどうしたらいい、どうしてくれますか」みたいなのを、生徒指導主任としてやっていたこともあって、対応することもありましたって感じですかね。

居場所がない子どもたちの行動原理


そもそもなんでそういったところに、他のご家庭に上がり込んじゃったりとか、帰らないってことになる感じなんですか?
生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

だって居場所ないからね、家に。できることが少ないんですよね、子どもたちって。やっぱり大人と比べたら。その誰もいない、食料もない家に。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

私が関わった子で言うと、お母さんはちょっと今彼氏と一緒にいるので忙しいらしく。これは子どもに聞いた話ですよ。「あなたは彼氏と一緒にいるんですか」とか親に聞いたこともないし、わからないけど、その子ども曰く、お母さんは彼氏のところに行っていて、帰ってこない日もあるし、夜遅くまで帰ってこないと。で、食べるものは自分たちで用意するんだけど、お金だけ置いてあったり、あとはカップ麺みたいなのを何とかするんだけど。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

その子どもたちとしては、つまらないし寂しいわけなんだと思うんですよね。だから、「何々ちゃんのお家に行っちゃった」みたいな話は子どもから聞いたことはありますね。これ、もう本当に社会現象というか、日本はどこの国と比べていいかわかんないけど、少ない方だと思いますよ、というくらいに、こういったことって別にある話だとは思って関わっていました。

放置子への関わり方:たくましさを尊重する


具体的にそののんちゃん先生が関わることで、こう変わったみたいなことってあるんですか?
生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

「こう変わった」まで行けたかどうかは知らないけど。結局、やたらにたくましいんですよ、その放置子と言われる子どもたちって。もう幼くして自分で生きているので、なんとかするしかないわけですよ、食料も何もかも。割とね、毎日同じ服を着てるとか、頭が臭いとかで話題になったりもするんですけど。とてもたくましいです。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

だから本当に私が関わった中で言うと、なんか3日ぐらい学校に来ないし、でも家に電話ないし、お母さん通じないし。その電話が全然通じないので基本、というような引き継ぎを受けて、その辺の事情も「お母さんは繋がらないし、大体家にはいないらしい」みたいな情報で来てたりすると、大体児童相談所がバックにあって、何か子育て能力なしみたいな状態があったら、児童相談所と連携を取ることには学校側となってたりして。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

3日間とか来ないと心配で家にピンポンって行ったら、一番ちっちゃい子の面倒を見ているから。その時の5年生の女の子でしたけど、そのお母さんが帰ってこないと。1歳か2歳くらいの弟がいて、自分が出かけるとこの子が1人になっちゃうからお世話をしていたというような。もう家は散々たる状態なんですけど、ゴミもその辺に落ちているし、みたいな状態でちっちゃい子の世話をしていたりする。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

なので、児童相談所と連携取りますよね。児童相談所が引き取りに来る場合もあるし、その辺は相談しつつになるんですけど、大変たくましく頑張って生きているなと思っていました。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

だから私はそこに関わるなら、「なんであなたは素敵なんだろう」と。弟さんの面倒を見ながら、何してたのっていう話を聞いて、勝手に家に上がり込むのも割と問題だったりはするんですけど、一緒に片付けるところを一緒に片付けたり、「今何に困ってる?」みたいな話を聞いて、専門機関と連絡を取るっていうのがすごい大事だったなという風に思いますね。

居場所を作るための工夫とコミュニケーション

のんちゃん先生
のんちゃん先生

その子、不登校と言われていたけど、不登校というよりは家を出られない状態という感じなので。でもなんかそれで親を責められる立場に私はないし、お母さんと連絡取れた時に「こんなに頑張ってますよ」という姿を伝えて。お母さんも色々大変だとは思うので、私で何かこう力になれるところがあれば、というようなコミュニケーションの取り方はしていたかな。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

その子は割と3学期は毎日来られるようになって。洋服のこととかも、毎日同じ服を着てて汚くて臭いみたいな話が上がる年代ですよね。5年生になってくるといろんな子がいろんなことをわかり出すので。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

家の状況をその子に聞いて、「同じ服を着ていると噂を立てられてしまう。でもあなたの状況で言えば学校に来るだけで私はすごいことだと思うけど、なんか言われないように工夫はもうあなたは自分でできると思うよ」って。家に服は何枚あるの、みたいな話から、洗濯の仕方を伝えて一緒に練習したりとか。昨日と違う服だね、みたいな工夫したみたいな相談には乗ってたかな。でも本当にたくましく生きているなと思って見ていましたね。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

家に上がり込まれちゃってすごく困る、というのは確かにそうだと思う。その子との関わりもそうだけど、こちらの事情をちゃんと話した上で、こちらができる手助けとかをきちんと提案した上で、「ここを守ってこんな風に関わっていきたい」というような話をしたら、結構本当に寂しい中生きているから、割と守ってやってくれる子が多いなとは思っていました。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

それをやってると立ち入り禁止にさせざるを得ないよ、というところだったり。本当に昔で言えば割と近所の子はみんなで世話をしたりってあったと思うんですよ。「この子のお家はもう両親共にずっといないしね」とか、「お母さんが病で伏せってるからね、近所のおばあちゃんが世話をしてくれたよ」みたいなことってあったと思う。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

だからご自身のご家庭の事情でどこまで関わるかは、それぞれの事情があると思うから、放置子のお面倒をみんなで見ましょう、なんていう提案をする気は全くないけど、普通に遊びに来て夕方に帰るんだったら問題はないのであれば、困ることというのを分かりやすく伝えた上で、「こんな風に関われたら嬉しい」という提案をすることというのは、割と守ってやれる子もいるんじゃないかなっていう気はしますね。

専門機関との連携と子どもへの尊敬

のんちゃん先生
のんちゃん先生

その上で、子どもたちのことは本当に児童相談所です。児童相談所に連絡をしたら、日本は割とそういう子たち、親に教育の能力がないという判断が出ると、それでもね、子どもたちって親といたいっていう思いがすごい強いから、泣き叫ぶ中、児童相談所が保護しなければいけない事態みたいなのも、私も小学校の先生時代に経験したことはあるんですけど。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

でも文句を言っててもしょうがないし、その子たちに悪気はないって言ったらあれですけど、生きるために必死なので、自分が関われる部分っていうのをしっかり伝えた上で、それを踏み込んでくるんだったら専門機関に相談、というのがいいんじゃないかなっていう風に思いますね。

のんちゃん先生もやっぱ色々経験されてらっしゃるんですね。
生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

ありますね。でもなんか、あの日本だからすごい問題になってるけど、いろんな国行くと、そんな例えば物乞いしながら頑張って生活している子どもたちがたくさんいる国もあるじゃないですか。で言えば、「生きる力がものすごくあるね」と。「あなたはかわいそうだね」っていう目っていうよりは、尊敬のまなざしで見てました.そういう子たち、すごい本当に頑張って生きているから。できることを考えよう、そして専門機関に相談しよう、みたいなとこなんじゃないかなって思いますね。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

イメージ湧きやすい例で言うと、『火垂るの墓』とか見てると全然あり得た話。それを「かわいそうだ」なんだっていうよりは、「なんて早くから自立していて素敵なんだ」っていう声かけをしていました。尊敬するって。朝ご飯炊いて弟の面倒を見てから家を出てくる子と、かわいそうかなんか全部親がやっちゃってて生きる力もなく、大学卒業して、が、その子よりも幸せですかって言ったらわかんない話だと思う。なんか全部幸せは自分で捉えていく話だとは思っていたので。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そういう子どもたちって別に今いっぱいいると思いますよ、日本に。だからその子たちがダメになるとは思ってなくて。それに文句を言い続けたらダメになっちゃうし、それって、例えば相手にとって迷惑なことをするから追い出されるわけで、相手にとってすごく役立つ存在になったら追い出されないかもしれないですよね。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

他の家の中でもうまく生きていく方法っていうのは、どんな環境であれ自分で切り開いていくものだと思うから。私が関わるんだったら、他の家に入って迷惑を働く子を、担任っていう立場じゃなかったですね。迷惑がかかってるからどうすればいいですかっていう相談があったから、その子に会いに他のクラスに行ったんですけど。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そこで話したことっていうのは、「どうしたい?」と。お母さんを帰ってこさせることは無理だとその子は言っていたので、「だとしたらあなたはどうしたいの?そのお家がすごく好きなの?」って言うと、「好きだ」と。「どんなところが好き?」っていうのを聞いて、「じゃあどんな風に関わったらまた『おいで』と言ってもらえるんだろう」っていうのは自分次第だよって。作戦一緒に立てようか、っていう話はしました。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

「これこれか迷惑だからって学校に電話が来ちゃったよ」って。「このままだと本当に立ち入り禁止になって邪魔者扱いをされるよ。そうやって生きていきたいですか?」って言ったら、泣きながら「そうじゃない」って言っていて。「だとしたら是非次も来てくれたら助かるのに、っていう存在になったら他の家にだって別に居場所は作れると私は思う。難しい話ではあるけれど、もう来んなって言われることをしてしまったら、あなた本当に家でも1人ぼっちなのに、他でも居場所を失ってしまうのは私は悲しいと見ていて思うよ」という話をしましたね。その子2年生か3年生の子でしたけど。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

だから別になんか3歳とか4歳から1人で放り出されちゃう子だからダメになるではないと思うし、日本もね、今あの円安がひどいことになってますけど、どこまでどういう国家でいられるかとか、保証はないし知らないじゃないですか。だとすると、そこに教育的立場で関わるのであれば、その中でできることを自分でできることを見つけていこう、という関わりをするなと思いますね。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

その子は関わりたいなと思ったんですよ。担任でもないし、割とクラスもガチャガチャだったので、その子も自由奔放にクラスで真ん中にいる感じで。でも関わりたいなと思ったから、割と様子見にそのクラスに行っては「元気?」という声をかけてましたね。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

でもすごくやっぱり生きる力があるというか。勉強的に賢いとか知らないけど賢い子で、それこそ担任の先生と話しても、そのかわいそうで哀れな子だ、みたいな風に見てる大人と話してもしょうがないと、その子も思ったのか。私のクラスにもよく来てました。「来るとあったかいクラスになってるから」みたいな感じで。お兄さんお姉さんに遊んでもらいながら、なんか相談があってきたの?って言うと、「今これに困ってる」みたいなのを言ってくれて、解決方法はちょっと一緒に考えようって言って話を聞いてたりはしました。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

苦情が減ったかと言えば、確かにその後ひどい苦情はなかったような気がする。でもやっぱりそのむしゃくしゃすることとか、他の子を羨む気持ちとかがあって当たり前だと思うから。「辛い、辛くて泣きたい時にはおいで」とも言ってて、よくね、クラスに来てましたね、休み時間。その後私移動しちゃったな、その学校。だからその後どうなったかとかはあんまり知らない。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

なんか大人もね、私がそばに住んでいたらどの程度どうした。でも私自身も家にいないからね、全然ね。関われる範囲って人それぞれじゃないですか。邪魔者扱いしたくもなるし、迷惑かけてきたらそうだけど、「これは迷惑だ」って。「これをしてくれたら一緒にいたいと思うよ」とか、「これは守ってほしい」みたいな話をした時に、やっぱりそれだけ危機的な状況にある子って本当に真摯にそれを守ろうとするなとも思っていたので、関わり方で変わる部分っていうのはすごいある気はしますね。

まとめ:余裕を持った大人の対応と専門機関の活用

のんちゃん先生
のんちゃん先生

まとめると、「放置子」と言われるような環境にいる子って、やっぱ結構いる、今の日本だし、もっと増えていくんじゃないかなって今の情勢を見ていて思います。それに対して周りの大人のやっぱり心の余裕がないと、邪魔者にしかならなかったりする。で、邪魔者扱いされればされるほど、その子たちは凶暴化していくというか、居場所を失っていくものだとは思うので。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

ちょっと余裕のある大人の皆さんが、普通に大人として守ってほしいこと、自分にできることっていうのをきちんと話した上で、それでも彼らが頑張っている状況っていうのを尊敬できたらいいかな、みたいな風に思いますね。
のんちゃん先生
のんちゃん先生

専門機関は児童相談所です。是非連絡をしてみてください。結構あの頑張って動いてらっしゃる相談所の自装の方たちなので。無理をする必要はないけど、邪魔物として扱うとより凶暴化します、というのは人間の心理なのかなとは思うので。関われる範囲で余裕を持った心で、一緒に、関われる範囲で関わりながら、専門機関も頼りながら付き合っていく、関わっていくのがいいんじゃないかなと思います。

ありがとうございます。なんか途中ちょっと熱くなってきた。
生徒T
生徒T

この記事を書いた人: 梶谷希美

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