【殴ったほうが悪い!? 】暴力に出る子の悲しい事実

「何度注意しても、すぐに手が出てしまう」
「『先に手を出した方が悪い』と叱っても、一向に行動が改善されない」

学級経営や子育ての中で、そんな暴力に出てしまう子どもへの対応に頭を抱えていませんか?その拳の裏側には、大人が見落としがちな、まわりの挑発と、子どもなりの訴えが隠されていることがあります。

今回の記事では、のんちゃん先生の実体験に基づき、1日に5回も暴力を振るっていた「K君」が、なぜ数ヶ月でクラスの人気者へと劇的な変化を遂げたのか、その秘密を紐解きます。

叱責だけでは届かない心に、信頼の橋をかけるための「対話術」。子どもの本当の姿が見えてくる、温かくも実践的なアプローチをぜひご覧ください。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

やんちゃな子と信頼関係を築いていく上では、私は「話を聞くこと」が必須だったと思っています。

何が耐えられなくて暴力に至ったのかというところを、結構詳しく聞いていくというのが大事なんじゃないかなという風に思いますね。

のんちゃん先生、「うちの子すぐ手が出ちゃうんですけど、どうにかならないですかね」という質問が来ています。

生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

どういう状況で手が出ちゃっているとかっていうのは、相談者さんはどんな感じなんですか?

「相手が『バカ』って言ってきたらすぐに手が出ちゃうみたいです」とか、「手を出した方が悪いっていう風には言ってるんですけど、どうにもやめてくれないんですよね」という感じらしいですね。

生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうなんですね。とにかく話を聞いてみましょうというところが、すごい大事なんじゃないかなと思います。

話を聞いてみる、ですか。

生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうそうそう。何回「バカ」って言われましたか?とか。どんな「バカ」って言いようでしたか?とか。何に対して「バカ」って言われたの?みたいなところですね。

実は、詳しく聞かずに「殴った方が悪い」「手を出したら全部あなたが悪い」みたいな風になっている感はあるんですよね。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

確かにそうなんですよ。手を出した方が、相手に怪我を負わせた場合、将来罰せられるとか、警察に連れて行かれるのは、先に手を出して害を及ぼした方というのはもちろんそうです。

もちろんそうなんだけど、じゃあ「我慢しなさい」だけだと解決には向かわなくて。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

なので、暴力はいけないということはもちろん言うんですけれど、一体どういう経緯で、何が嫌で、何が耐えられなくて暴力に至ったのかというところを、結構詳しく聞いていくというのが大事だと思います。

「手を出した方が悪い」の裏にある挑発のメカニズム

なんかそういう例、あったんですか?

生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

めっちゃありますよ。その「殴った」っていうのが起こった時に、両者の話を本当によく聞いてみることっていうのがすごい大事です。

例えばですよ。その子が一生懸命、今日は頑張ろうと思ってやっていた算数プリントがありました。でもどうしても解けないところがあって、うーんと悩んでいた。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

そこに3、4人でやってきて、「お前こんなのわかんねえの、バカじゃねえの」「うわ、バカだ、これわかんねえんだ」って言って。

その子が「やめろよ」「『バカ』って言うなよ」と言ってるのに、まだ畳みかけるように「バカ、バカ、バカ」って言ったとしますよ。それで耐えかねずに「うるせえ!」と殴るだと、何の解決にもなってないんですよ。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

その悔しかった気持ちに対して「あ、本当に悔しかったね」ということと、言葉の暴力に関しても言っても、一体何目的でそんな人数で言ったかというところは、しっかり両者に対して聞く必要があります。

「何をやってるの?私はそれは良くないと思うよ」「それは手を出した方が悪くなるよ。でも怒らせてやろうと思って言ってなかった?そういうの挑発って言うんだよね」と。

そのきっかけとなった場面を詳しく聞いた上で、その子の気持ちを汲んだ話をしないと、ただただ「我慢しろ」「言われ続けて黙ってみてろ」みたいな話じゃないと思うんです。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

私がいろんな子に関わってきて思うのは、学年の中で問題児としてあげられてる子、なかなか口は達者じゃなくて、でも結構元気が良くてみたいな子って、この「挑発の対象」になってることがものすごい多かったんです。

だって最終的にそいつがキレて暴れれば、そいつが怒られるじゃないですか。で、鬱憤が溜まってる時とかに、そういう子をからかって怒るところまでやって、すっと逃げてる子どもたちがいるんですよ。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

これなんで私がよく気づけたかって言うとですよ。なんでこのメカニズムに気づいたかと言うと、私がお姉ちゃんにやってたからです。

なるほど(笑)

生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

お姉ちゃんすごい癇癪起こしやすくて、感情素直ストレートタイプだったんです。で、なんか目立つんですよ。振る舞いが華やかというか派手だから。

だからいろんな人にかまってもらって、私が「ちっ」て思ったとするじゃないですか。「ムカつく」って思ったら、姉が怒るようなことをわざと仕掛けて、うわあってキレたところで、「え、お姉ちゃんがぶった」ってやればいいっていうのはよく分かってたので。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

そうすると関心が引けるし、「ざまみろ」って思える。こういうストレス発散の仕方っていうの、人間できるんですよ。これ私がちょっとね、汚かったから気づくことなんですけど。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

よくよく聞いてみると、「この子それでキレるってことは分かっててやったよね」っていう現場がたくさん出てくる。

一体何がしたいかと言うと、自分の方を見てほしいし、自分がこの場所にいるってことをとか、愛されているとか、自分はここにいていいんだっていう感覚をみんな欲しくてやっているんです。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

だから「バカ」って言った側の気持ちも分かるんですよ。やんちゃな子とかって、好き勝手やったりするけど、割と愛嬌もあるから、クラスを沸かせることができたりとかっていう面を持っている。

だから、ちょっとでも「こいつ今つついとけばキレるぞ」みたいなところもあるっていう心理戦が、子どもたちの中でも結構繰り広げられているんです。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

そこを「殴ったらだめ」「殴らなかったらいい」みたいな解決をしようとすると、余計イライラや鬱憤や「分かってくれない、どうせ」みたいなのを溜めていっちゃうのかなって思うんですよね。

なので、一番ね、やんちゃな子のK君っていう子がいましたけど。K君ね、1日に殴るっていう事件を4、5回起こすんですよ。

多いですね。

生徒T
生徒T

実践事例:1日5回暴力を振るっていたK君の変化

のんちゃん先生
のんちゃん先生

休み時間ごとに「また、K君殴ったわ」みたいな。でも詳しく詳しく聞くんです。

ただただ殴ってる時もあります。これはよく聞いてください。ただ「消しゴム貸して」って消しゴム取ったのをポンとやってたりするんですよ。それはいけないじゃないですか。何も理由が出てこない場合は、「暴力を何だと思ってます?」っていう話になるし。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

でも詳しく聞いていったら、「そりゃ悔しかったよね」「それはやるせなかったね」っていうものもたくさんあるんですよ。

「あいつどうせボケッとしてるからわかんねえだろう」って、給食並ぶ時にK君の順番をみんな無視して4、5人前に入ったらしいんですよね。それで「なんだよ、俺が並んでたのに」って言ったら、「あ、お前でも気づくんだな、ちっ」みたいなことを言われてたり。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

よくよく聞いていったら、「あ、それはきつかったね」「悔しかったね」っていうようなことは本当にあったので。

その時にちゃんとその気持ちを分かろうとすること。「それは殴りたくなるわ」って。
そして、何やってるのって相手に対してもきちんと話を聞いた上で「それは違うと思う」って言うのは、やんちゃな子と信頼関係を築いていく上では必須でした。

ふーん。

生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

でもやっぱそういう時に、「そうやってすぐキレるから冷やかされるんだよ」って、ついつい先生とか親とか言っちゃったりしません?

言っちゃいますよね。

生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

でも、そう言われてキレなくなるんだったらいいんじゃないですか、って感じかな。

例えば私は酔っ払ってすぐ記憶を失っちゃうけど、それを「のんちゃんってどうせすぐ記憶失うからそんな風に言われるんだよ」って言われて、「分かった、私記憶失わないように気をつける」ってあんまりならないんですよ(笑)
「うっせえな」と思う。だって、そんなの言われて治るんだったら苦労しねえよって思うから。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

だから言いたくなっちゃう気持ちはもちろん分かるし、確かに無駄な暴力も振っているので。でも結局誰も分かってくれないと思う思いが、そっちの方に向かっているなって思うから。

だから何度も何度も話してましたよ。「これは暴力を振っちゃうあなたが悪い、じゃない。今回のことで言えば暴力を振ったことがもったいなかったよ」って。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

「暴力を振ったことで、またお前暴力を振るやつだって言われちゃうじゃん。私は悔しいよ。その『バカ』って言われた時にすごく悔しかったと思う。『悔しい』って声で言ってくれたら、よく頑張った、一緒に話そうっていうのが私もできるし」

「そういう時にどうしたらいいのか話せるようになったら、もっともっとあなたの素敵なところがたくさん見えてっていう関係性が築いていけるのに、私は悔しい!」ていう話は、K君にはもう本当に最初の4月5月は何度も何度も話して、何度も何度も一緒に泣きました。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

やっぱりK君も悔しいからね。「どうせお前は暴力で、あれだろう」「どうせお前嘘つきだ」とかっていうのは、本当にちっちゃい頃からずっと言われてて、誰も分かってくれなかった。そうやって味方になってくれる人はいなかった。

K君は自分が悪くて怒ってる時よりも、K君も辛かったってことが分かって、寄り添って、その相手に対しても「それは私は嫌だなっていうのを言う」って言った時の方がよく泣いてた。なんか「誰も分かってくれなかったんだもん、今まで」って言ってよく泣いてた。

クラス劇での感動的なエピソードと具体的な対策

のんちゃん先生
のんちゃん先生

実際、K君ね、二学期以降、暴力一切……と言っていいかな。ほぼなかったくらい減ったんですよ。

最後のクラスの劇を子どもたちだけで作った時があったんですけど。「このクラスには暴力もんがいました」って言ってK君が登場してきて(笑)

のんちゃん先生
のんちゃん先生

私ちょっとヒヤッとしたんですけど、K君笑顔で「おらおら」とか言いながら登場してて。その後ろに可愛い女の子がホワイトボードで「今はいい人です」っていうテロップをつけて歩いてて。

何それ(笑)

生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

保護者の皆さんもみんな笑ってて。そのくらい変わったんです。本当にそのみんなと暖かい関わりができるようになって進級していったんですけど。

暴れん坊だった子も、そうやってたくさんお話を聞いて、「殴りたくて殴ってるわけじゃないんだ」っていうのをみんなで分かっていった時に、そんな変化があったかなと思いますね。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

生まれた時から性格が悪い暴力もんというのはいなくって、何かしら分かって欲しくて暴力に出てるっていうとこだと思うので。

話を聞いてみて、寄り添えるとこに寄り添い、「これはダメ。でもそっちも悪かったね」みたいな。その上でどうしたらいいのかなっていう風に話していけたらいいのかなと思います。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

K君の最初の作戦は、「手が出そうになったら、このまま私のところに来る」でした。

「殴るな」じゃなくて、「手が出そうになったら、私のところに来ていいよ」って言って。よく私のところにきて、「殴んなかった!」「よし、よく頑張った。何があったか言ってごらん」っていうのを最初の方はよくやってましたね。

のんちゃん先生
のんちゃん先生

そのうちみんなもK君がそうやって我慢しつつ向き合ってるってのが分かるようになってから、そういうちょっかいとか、挑発みたいなものはなくなって、すごく仲のいいクラスになっていったので、是非やってみてください。

いや、ありがとうございます。すごい私冷や汗かいた。「このクラスには暴れん坊がいました」で、こうやって出てきた時に、「マジでK、その役やんの?そのままやん」と思って。さすが子どもの作る劇でね、忖度が一切ないもんね。

生徒T
生徒T
のんちゃん先生
のんちゃん先生

忖度一切ない(笑)

この記事を書いた人: 梶谷希美

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